司法試験短答式試験過去問題一問一答

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令和2年 刑法

第7問 (配点: 2)


学生A,B及びCは,後記【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑤までの( )内から適切なものを選んだ場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。

【会話】

学生A.人に意図的に害悪を加えることは,本来であれば許されないはずです。それにもかかわらず,刑罰という苦痛を人に与えることが正当化される実質的な根拠は何でしょうか。

学生B.私は,刑罰は犯罪に対する非難を含むもので,その意味で①(a.応報・b.社会統制の手段)としての性質を持ち,②(c.犯罪者の改善更生・d.正義の実現)という観点に照らして,犯罪に対する反作用であること自体に刑罰の正当化根拠を見いだすことができると考えます。もう少し詳しく言うと,自らの意思で犯罪行為を行うことを決意し実行した犯罪者に対して,その意思決定を回顧的に非難する点に刑罰の正当化根拠があるということです。

学生C.B君は,③(e.非決定論・f.決定論)の立場を前提にしているのですね。しかし,(①)としての刑罰自体に刑罰を正当化する根拠があるという説明では,刑罰を科すことそれ自体が目的ということになりませんか。刑罰は,国家の制度の一種なのだから,国民の現実的な利益を実現する手段として合目的性の観点から正当化されるべきではないでしょうか。私は,刑罰を科すことが許される根拠は,④(g.被害感情の緩和・h.犯罪の予防)にあると思います。犯罪によって得られる快楽を上回る苦痛を刑罰として予告すれば,一般人に対する威嚇的な効果があるからです。刑罰は(④)という公的利益の達成に資するために,人に科すことが正当化されるのだと思います。

学生A.私も,基本的にC君の考えに賛成ですが,(④)の観点を強調しすぎると,⑤(i.責任・j.被害感情)の程度を超える刑罰を科すことも肯定されかねず,刑法の基本原則に反する帰結をもたらすことになるのではないでしょうか。

1.①a ③f
2.①b ⑤j
3.②d ④h
4.②c ⑤i
5.③e ④g

「令和2年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001326055.pdf)をもとに作成

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