罪数に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
1.甲は,偽造された1万円札を使って価格1万円の商品をだまし取ろうと考え,事情を知らない商店の店員Aに対し,同商品の購入を申し込み,代金として同1万円札を渡して,Aから同商品の交付を受けた。甲には,詐欺罪と偽造通貨行使罪が成立し,これらは観念的競合となる。
2.甲は,Aを監禁するために逮捕し,それに引き続きAを監禁した。甲には,逮捕罪と監禁罪が成立し,これらは牽連犯となる。
3.甲及び乙は,共同でAの身体に危害を加える目的で,凶器として用いる鉄パイプをそれぞれ準備して集合し,その後,その目的を遂げるため,鉄パイプで代わる代わるAの身体を殴打して傷害を負わせた。甲には,凶器準備集合罪と傷害罪が成立し,これらは牽連犯となる。
4.甲は,Aを監禁してAから金品を喝取しようと考え,Aをビルの一室に閉じ込めて監禁し,その上で,同室内において,監禁により畏怖していたAに対し,金品の交付を要求しながら脅迫して畏怖させ,Aから金品を脅し取った。甲には,監禁罪と恐喝罪が成立し,これらは牽連犯となる。
5.甲は,AがB銀行に預け入れていた預金を不正に払い戻して金銭を得る目的で,Aから,B銀行が発行したA名義の預金通帳を窃取した上,B銀行の窓口において,行員に対し,Aに成り済まして,同預金通帳を使って預金を不正に払い戻して金銭を得た。甲には,窃盗罪と詐欺罪が成立し,これらは併合罪となる。
「平成28年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001182605.pdf)をもとに作成