【以下の問題の解答に当たっては,国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用を考慮する必要はない。】
売買に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.解約手付の授受された売買契約の買主は,自ら履行に着手した場合でも,売主が履行に着手するまでは,手付を放棄して売買契約の解除をすることができる。
イ.甲土地の売買契約がAを売主,Bを買主として締結され,AからBに甲土地の引渡しがされたが,甲土地がCの所有であった場合において,Aが甲土地の権利をCから取得してBに移転することができないことを理由にBが甲土地の売買契約を解除したときは,Bは,Aに対し,その解除までの間の甲土地の使用利益を返還しなければならない。
ウ.建物とその敷地の賃借権とが売買契約の目的とされた場合には,敷地に欠陥があり,賃貸人がその欠陥について修繕義務を負担するときであっても,買主は,売主に対し,その欠陥が売買の目的物の隠れた瑕疵に該当することを理由として瑕疵担保責任を追及することができる。
エ.売買契約の目的物に隠れた瑕疵がある場合において,買主がその瑕疵があることを知った時から1年以内に瑕疵担保による損害賠償の請求をしたときは,その時点で買主が目的物の引渡しを受けた時から10年を経過していたときであっても,その損害賠償請求権につき消滅時効は完成しない。
オ.建物の強制競売の手続が開始され,借地権の存在を前提として建物の売却が実施されたことが明らかであるにもかかわらず,実際には建物の買受人が代金を納付した時点において借地権が存在しなかったことにより,建物の買受人がその目的を達することができず,かつ,債務者が無資力であるときは,建物の買受人は,強制競売による建物の売買契約を解除した上,売却代金の配当を受けた債権者に対し,その代金の返還を請求することができる。
1.ア イ
2.ア オ
3.イ ウ
4.ウ エ
5.エ オ
「平成28年 短答式試験 民法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001182604.pdf)をもとに作成