司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成27年 刑法

第13問 (配点: 2)


教授Xと学生Yは,事後強盗罪の共犯に関する事例について後記【会話】のとおり検討している。【会話】中の①から④までの( )内から適切な語句を選んだ場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。

【会話】

教授X.窃盗犯人甲は,自己を逮捕しようと追い掛けてきた被害者Vに対し,逮捕を免れる目的で,Vの反抗を抑圧する程度の暴行を加えました。甲にはどのような犯罪が成立しますか。
学生Y.甲には事後強盗罪が成立します。

教授X.それでは,甲がVから追い掛けられている時に,甲の知人乙が,偶然通り掛かり,その状況から甲がVの物を盗んだのだと認識し,甲と意思を通じて,甲の逮捕を免れさせる目的で,Vに対し,Vの反抗を抑圧する程度の暴行を加えた場合,乙の共犯としての罪責はどうなりますか。
学生Y.事後強盗罪を真正身分犯と考え,刑法第65条についての判例の立場に立てば,乙には①(a.刑法第65条第1項により事後強盗罪・b.刑法第65条第2項により暴行罪)が成立します。

教授X.事後強盗罪を不真正身分犯と考える立場では,乙の共犯としての罪責はどうなりますか。
学生Y.事後強盗罪を不真正身分犯と考えた上で,刑法第65条第1項は構成的身分及び加減的身分を通じて,身分犯における共犯の成立の規定であり,同条第2項は加減的身分について刑の個別作用を定めたものと解する立場に立てば,乙には②(c.刑法第65条第1項により事後強盗罪が成立するが,同条第2項により暴行罪の刑を科す・d.刑法第65条第1項と同条第2項の双方を適用して,暴行罪が成立する)ことになります。

教授X.事後強盗罪を身分犯と考えない立場では,乙の共犯としての罪責はどうなりますか。
学生Y.事後強盗罪を窃盗と暴行の結合犯と考える立場もあります。この立場に立ち,乙に事後強盗罪が成立するという考え方は,乙の承継的共同正犯を③(e.肯定・f.否定)しています。

教授X.事後強盗罪を結合犯と考える立場に対しては,どのような批判がありますか。
学生Y.④(g.窃盗の既遂・未遂によって事後強盗罪の既遂・未遂が決まることを説明できない・h.窃盗に着手しただけで事後強盗罪の未遂を肯定することになってしまうのではないか)という批判があります。

1.①a ②d ③e ④g
2.①b ②d ③f ④h
3.①a ②c ③e ④h
4.①b ②d ③f ④g
5.①a ②c ③e ④g

「平成27年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001144533.pdf)をもとに作成

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