【以下の問題の解答に当たっては,国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用を考慮する必要はない。】
Aが所有して占有していた動産甲が,AからBへ売られてBに引き渡され,その後にBからCへ売られてCに引き渡された場合において,AがCに対して所有権に基づき動産甲の返還を請求する訴訟を提起し,請求原因としてAが動産甲を所有していたこと及びCが動産甲を占有していることを主張し,これらについてCの自白が成立したときに関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
1.Cは,Aが所有権を失ったことを主張する抗弁として,動産甲がBからCへ売られたことを主張・立証しなければならず,Cがこれを主張・立証した場合において,Aが,再抗弁として,動産甲がAからBへ売られたこと及びAB間の売買契約に無効原因があることを主張・立証したときは,Aの請求が認容される。
2.Cは,Aが所有権を失ったことを主張する抗弁として,動産甲がAからBへ売られたこと及び動産甲がBからCへ売られたことを主張・立証しなければならず,Cがこれらを主張・立証した場合において,Aが,再抗弁として,BC間の売買契約に無効原因があることを主張・立証したときは,Aの請求が認容される。
3.Cは,Aが所有権を失ったことを主張する抗弁として,動産甲がAからBへ売られたことを主張・立証しなければならず,Cがこれを主張・立証した場合において,Aが再抗弁として適切な主張・立証をしないときは,Aの請求が棄却される。
4.Cは,Aが所有権を失ったことを主張する抗弁として,動産甲がAからBへ売られたこと及びAB間の売買に基づく引渡しがされたことを主張・立証しなければならず,Cがこれらを主張・立証した場合において,Aが,再抗弁として,AB間の売買契約に取消原因があること及びBC間の売買契約が締結された後にBに対してAB間の売買契約を取り消す旨の意思表示をしたことを主張・立証したときは,Aの請求が認容される。
「平成26年 短答式試験 民事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000123125.pdf)をもとに作成