犯罪の証明に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.裁判所は,被告事件について犯罪の証明があったときは,同事件について刑を免除するときを除き,判決で刑の言渡しをしなければならない。
イ.刑事裁判の有罪認定に当たって必要とされる「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証」とは,反対事実が存在する疑いを全く残さない場合をいうものではなく,抽象的な可能性としては反対事実が存在するとの疑いをいれる余地があっても,健全な社会常識に照らして,その疑いに合理性がないと一般的に判断される場合には,有罪認定を可能とする趣旨である。
ウ.裁判員の関与する判断に関しては,証拠の証明力は,それぞれの裁判官及び裁判員の自由な判断に委ねる。
エ.一般的に,情況証拠は,直接証拠に比べて証明力が低く,情況証拠により事実認定を行う場合は,直接証拠により事実認定を行う場合と比べてより慎重な判断が求められることから,反対事実の存在の可能性を許さないほどの確実性がなければならない。
オ.略式手続においては,書面審理による迅速な判断が要求されることから,犯罪の証明は証拠の優越で足りる。
1.ア イ
2.ア オ
3.イ ウ
4.ウ エ
5.エ オ
「平成24年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000098334.pdf)をもとに作成