次のアからオまでの各記述における甲の罪責を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。
ア.甲が,財物奪取の意思で乙に脅迫を加えてその反抗を抑圧し,同人のポケットから財物を奪ったが,財物を奪われたことに乙が気付かなかった場合,強盗既遂罪(刑法第236条第1項)は成立しない。
イ.甲が,財物奪取の意思で乙の頭部を強打して意識を喪失させた上で乙の財物を奪った場合,昏酔強盗既遂罪(刑法第239条)が成立する。
ウ.甲が,乙から財物をだまし取って財物の占有を確保した後に,だまされたことに気付いた乙から上記財物の返還を要求され,その返還を免れるため,乙に対し,暴行を加えて財物の取戻し行為を抑圧した場合,強盗既遂罪(刑法第236条第1項)が成立する。
エ.甲が,乙を殺害した後に初めて財物奪取の意思を生じ,乙が身に付けていた腕時計をその場で奪った場合,強盗殺人既遂罪(刑法第240条後段)が成立する。
オ.甲が,財物奪取の意思で乙宅に乙の留守中に侵入し,乙の甥でたまたま留守番をしていた丙(15歳)に対し,暴行を加えてその反抗を抑圧し,タンス内から乙が所有し管理する衣類を奪った場合,強盗既遂罪(刑法第236条第1項)は成立しない。
1.1個
2.2個
3.3個
4.4個
5.5個
「平成22年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000046903.pdf)をもとに作成