次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか(ただし,甲は,「行使の目的」又は「人の財産上の事務処理を誤らせる目的」を有するものとする。)。
1.司法警察員甲が,参考人乙に対する事情聴取を行ったところ,乙は客観的事実と異なる供述をした。甲は,同供述が客観的事実と異なることが分かったものの,乙の供述をそのまま録取した供述調書を作成し,これに自ら作成者として署名押印した。甲には,虚偽公文書作成罪が成立する。
2.甲は,乙所有の建物の売買契約書を会員制クラブの入会申込書であると偽って乙に示し,乙をしてその旨誤信させてその売主欄に署名押印させた。甲には,有印私文書偽造罪の間接正犯が成立する。
3.甲は,内容虚偽の旅券申請書を作成して旅券の交付を申請し,旅券の交付を受けた。甲には,詐欺罪が成立するので,免状等不実記載罪は成立しない。
4.市立病院に勤務する公務員である医師甲が,同病院の医師として同病院の患者が裁判所に提出するための診断書を作成するに当たり,同診断書に虚偽の病名を記載した。医師である甲には,虚偽診断書等作成罪が成立するので,虚偽公文書作成罪は成立しない。
5.甲は,乙から詐取した携帯電話機に保存された電子マネーを使って商品を購入し,同電話機に保存された電子マネーの残高を減少させた。甲には,支払用カード電磁的記録不正作出罪が成立する。
「平成22年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000046903.pdf)をもとに作成