背任罪の構成要件に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
1.「自己若しくは第三者の利益を図る目的」の「利益」とは,経済的利益のことをいい,社会的地位や信用等の身分上の利益を含まない。
2.「自己若しくは第三者の利益を図る目的」があるというためには,主として自己又は第三者の利益を図る目的があれば足りるが,これと本人の利益を図る目的とが併存している場合は含まない。
3.「他人のためにその事務を処理する者」の「事務」は,法律行為たる事務に限らず,事実行為たる事務を含む。
4.「財産上の損害」は,経済的見地から把握されるべきものであるから,返済の可能性が著しく低い無担保貸付けについては,その債務不履行が確定しなければ損害が発生したとはいえない。
5.「本人に損害を加える目的」があるというためには,加害の点につき意欲ないし積極的認容が必要である。
「平成22年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000046903.pdf)をもとに作成