司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成21年 刑事系科目

第39問 (配点: 3)


次のI及びⅡの【見解】は,確定判決を経由した事件の訴因及び確定判決後に起訴された確定判決前の行為に関する事件の訴因が共に窃盗罪である場合において,両訴因間における公訴事実の単一性の有無を判断する考え方を述べたものである。これらの【見解】のいずれかを前提に,後記【事例】において,裁判所がどのような判決をすべきかについて述べた後記アからカまでの【記述】のうち,正しいものの組合せは,後記1から6までのうちどれか。なお,「窃盗罪」とは,刑法第235条の罪をいい,「常習特殊窃盗罪」とは,盗犯等の防止及び処分に関する法律第2条違反の罪をいう。

【見解】

Ⅰ.訴因に記載された事実のみを基礎として両者が併合罪関係にあり一罪を構成しない場合には,公訴事実の単一性はない。

Ⅱ.いずれの訴因の記載内容にもなっていないところの犯行の常習性という要素について証拠により心証形成をし,両者が常習特殊窃盗として包括的一罪を構成する場合には,公訴事実の単一性を肯定できる。

【事例】

甲は,平成○年2月2日にX宝石店から宝石を窃取した①事実と同年3月3日にY宝石店から宝石を窃取した②事実で,窃盗罪により起訴され,同年5月10日,裁判所において,窃盗罪により懲役2年の実刑に処せられ,同判決は,同年5月24日に確定した。その後,甲が同年1月1日にZ宝石店から宝石を窃取した③事実が発覚し,甲は,同事実で窃盗罪により起訴された。裁判所は,公判審理の結果,③事実について窃盗罪として訴因の立証がなされており,①事実及び②事実と併合罪関係にあるものの,実体的には①ないし③事実について常習特殊窃盗罪を構成するとの心証を形成した。

【記述】

ア.Ⅰの考え方に立つと,窃盗罪により有罪の判決をすべきである。
イ.Ⅰの考え方に立つと,免訴の判決をすべきである。
ウ.Ⅰの考え方に立つと,公訴棄却の判決をすべきである。
エ.Ⅱの考え方に立つと,常習特殊窃盗罪により有罪の判決をすべきである。
オ.Ⅱの考え方に立つと,免訴の判決をすべきである。
カ.Ⅱの考え方に立つと,公訴棄却の判決をすべきである。

1.ア オ
2.ア カ
3.イ エ
4.イ カ
5.ウ エ
6.ウ オ

(参照条文)盗犯等の防止及び処分に関する法律
第二条 常習トシテ左ノ各号ノ方法ニ依リ刑法第二百三十五条,第二百三十六条,第二百三十八条若ハ第二百三十九条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニ対シ窃盗ヲ以テ論ズベキトキハ三年以上,強盗ヲ以テ論ズベキトキハ七年以上ノ有期懲役ニ処ス
一 兇器ヲ携帯シテ犯シタルトキ
二 二人以上現場ニ於テ共同シテ犯シタルトキ
三 門戸牆壁等ヲ踰越損壊シ又ハ鎖鑰ヲ開キ人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅,建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ
四 夜間人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅,建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ

「平成21年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006453.pdf)をもとに作成

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