司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成21年 刑事系科目

第12問 (配点: 2)


学生A,B及びCは,次の【事例】について後記【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から④までの( )内から適切な語句を選んだ場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。

【事例】

甲は,Xの依頼を受け,同人又はその知人が不特定又は多数の者に見せるであろうことを知りながら,わいせつフィルムをXに貸したところ,Xは,更にYの依頼を受けて同人に同フィルムを貸し,Yがこれを映写して不特定かつ多数の者に観覧させた。

【会話】

A.私は,従犯を幇助する行為は,正犯の実行を容易にすることに変わりはないので,これを処罰することも可能と考える。甲の行為は,①(a.Xを幇助した行為・b.Yを幇助した行為)として処罰できると考える。

B.私は,甲の行為を「従犯の幇助」として可罰性を認めるA君の考え方には反対だ。まず,処罰価値については,刑法第63条は,従犯を刑の②(c.必要的減軽事由・d.任意的減軽事由)としていることから,従犯は正犯より処罰価値が乏しいとする趣旨と考えられ,そのような者に対する幇助は正犯に対する幇助と同等の処罰価値を有するものとはいえない。次に,条文の解釈としても,「正犯を幇助した者は,従犯とする。」と定める刑法第62条第1項の文言からは,「従犯を幇助した者」は「従犯」に当たるとはいえない。さらに,刑法は,第62条第2項において,③(e.従犯の教唆・f.教唆犯の幇助)を処罰する旨規定しながら,「従犯の幇助」について規定していないから,これを処罰しない趣旨とみるべきだと思う。

A.C君は,甲の行為についてどう考えるのか。

C.本件事例については,別の観点から考えるべきだと思う。私は,甲には,④(g.Xのわいせつ物陳列罪幇助に対する従犯・h.Yのわいせつ物陳列罪に対する従犯)の成立を認めることができると考える。同様の事例について,最高裁判所はそのような判断を示している。

1.①a ②d ③f ④g
2.①a ②c ③e ④h
3.①a ②c ③f ④h
4.①b ②c ③f ④h
5.①b ②d ③e ④g

「平成21年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006453.pdf)をもとに作成

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