司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成21年 刑事系科目

第11問 (配点: 2)


放火の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。

1.甲は,乙が一人で住居に使用する乙所有の家屋の中で同人を殺害した後,だれもいない同家屋に放火してこれを焼損した。この場合,乙が死亡した後でも人が同家屋を訪問する可能性があり,「現に人が住居に使用」する建造物といえるのであるから,現住建造物等放火罪の既遂罪が成立する。

2.甲は,乙が住居に使用する同人所有の家屋を燃やそうと考え,火の付いた新聞紙を同家屋内のふすまに近づけ,新聞紙の火をふすまに燃え移らせてこれを燃焼させた。この場合,火が媒介物である新聞紙を離れてふすまが独立に燃焼するに至ったのであるから,この段階で,現住建造物等放火罪の既遂罪が成立する。

3.甲は,乙が住居に使用する同人所有の家屋に放火した後,さらに,同家屋に隣接する丙所有の物置を燃やそうと思い付き,同物置に放火し,同家屋及び同物置を同時に焼損した。この場合,甲は複数の放火行為を行い,所有者の異なる複数の建造物を焼損しているのであるから,現住建造物等放火罪及び非現住建造物等放火罪の各既遂罪が成立し,両者は併合罪となる。

4.甲は,多数人が住居に使用するマンションの居住者用エレベーターのかご内で火を放ち,同かごの側壁に燃え移らせてこれを焼損した。同かごは取り外しが可能であるが,そのための工事は著しい手間と時間を要するものであった。この場合,同かごは同マンションの一部といえるのであるから,現住建造物等放火罪の既遂罪が成立する。

5.甲は,公共の危険発生の認識がないまま,自己所有の自動車に放火してこれを焼損したところ,公共の危険が生じた。この場合,甲には公共の危険発生の認識がないのであるから,建造物等以外放火罪の既遂罪は成立しない。

「平成21年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006453.pdf)をもとに作成

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