検察官は,ハンマーを凶器とする傷害被告事件の証拠として,犯行を目撃したWの検察官に対する供述調書及び犯行に使用されたとされるハンマーの証拠調べを請求した。この場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア. ハンマーには伝聞法則は適用されないから,裁判所は,弁護人の意見を聴かずに,ハンマーを証拠として採用するか否かを決定することができる。
イ. Wの証人尋問が行われ,刑事訴訟法第321条第1項第2号後段の規定により,Wの証言と相反する供述が録取されたWの検察官に対する供述調書の証拠調べが請求された場合,裁判所は,証拠能力の有無を判断するためであっても,その採用決定をする前に,同供述調書を見ることはできない。
ウ. Wの証人尋問が行われ,Wの証言と相反する供述が録取されたWの検察官に対する供述調書が刑事訴訟法第321条第1項第2号後段の規定により証拠として採用された場合であっても,Wの証言は証拠能力を有する。
エ. ハンマーの証拠調べの方法は,ハンマーを裁判所と訴訟関係人が認識できる状態にすることである。
オ. ハンマーがいまだ証拠として採用されていない段階でWの証人尋問が行われた場合,Wに対するハンマーを示しての尋問が許されることはない。
1. ア イ
2. イ オ
3. ウ エ
4. ウ オ
5. エ オ
「平成20年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006413.pdf)をもとに作成