緊急逮捕に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。なお,死体遺棄罪(刑法第190条)の法定刑は,3年以下の懲役である。
ア. 強盗殺人罪の被疑者が警察署に自ら出頭して自首した場合,被疑者を警察署内に待たせておいてその間に通常逮捕のための逮捕状を求めることができるので,緊急逮捕が許されることはない。
イ. 緊急逮捕の要件としての罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」とは,通常逮捕の場合における「相当な理由」よりは一層高度な嫌疑をいい,具体的には,公訴を提起するに足りる程度の嫌疑があることをいう。
ウ. 死体遺棄罪の幇助は,「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪」に該当しないので,これによる緊急逮捕は許されない。
エ. 緊急逮捕状を発するには,逮捕後直ちに裁判官の逮捕状を求める手続がなされたことのほか,逮捕時における緊急逮捕の要件及び逮捕状発付時における通常逮捕の要件の双方を満たしていることが必要である。
オ. 緊急逮捕の要件としての罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」があるか否かの判断においては,逮捕後に生じた状況を資料とすることは許されない。
1. ア イ
2. イ ウ
3. ウ エ
4. ウ オ
5. エ オ
「平成20年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006413.pdf)をもとに作成