司法試験短答式試験過去問題一問一答

利用規約プライバシーポリシーご意見・お問い合わせランダム一問一答

平成20年 刑事系科目

第18問 (配点: 3)


横領罪(刑法第252条第1項)に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。

ア. 甲が,乙から賃借している同人所有の骨董品について,その売却代金を自己の借金の返済に充てるつもりで乙に無断で丙にその買取りを求めた場合,甲の行為は不法領得の意思が外部的に発現したといえるから,丙が買受けの意思表示をしなくても甲には横領罪が成立する。

イ. 甲が,自己が所有し,登記簿上も自己が所有権者となっている土地を乙に売却し,その売買代金の受領を終え,当該土地の所有権が乙に移転した後,乙がその移転登記を完了する前に,甲が,事情を知った丙に当該土地を売却し,丙がその移転登記を完了した場合には,丙が当該土地の所有権の取得を乙に対抗できるか否かにかかわらず,甲には横領罪が成立する。

ウ. 甲は,19歳の乙と同人所有の絵画の売買契約を締結し当該絵画の引渡しを受けたが,乙が親権者の同意がないことを理由に同契約を取り消した。甲はこれを知りながら,乙に無断で当該絵画を丙に売却して丙に引き渡した場合,甲乙間の売買契約が初めから無効であったものとみなされるため,甲と乙の間に委託信任関係は存在しないこととなるから,甲には横領罪は成立しない。

エ. 甲が,不在中の自宅に誤って配達された他人あての贈答品の高級食材を食べてしまった場合,甲の当該食材に対する占有は委託信任関係に基づくものではないので,甲には横領罪は成立しない。

オ. 甲が,自己が所有し,登記簿上も自己が所有権者となっている土地を乙に売却し,その売買代金の受領を終え,当該土地の所有権が乙に移転した後,乙がその移転登記を完了する前に,甲が,当該土地に自己を債務者とし丙を抵当権者とする抵当権を設定し,その設定登記を完了したとしても,抵当権が実行されない限り当該土地に関する乙の所有権は影響を受けないから,甲には横領罪は成立しない。

1. ア イ オ
2. ア ウ
3. イ ウ エ
4. イ エ オ
5. ウ オ

「平成20年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006413.pdf)をもとに作成

平成20年 刑事系科目 第18問 (配点: 3) | 司法試験短答式試験過去問題一問一答
このエントリーをはてなブックマークに追加
26 / 55