次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
1. 甲は,乙を教唆して丙所有の骨董品を盗むことを決意させ,乙にこれを実行させた後,同人が丙から盗んだ骨董品を買い受けた。甲には,窃盗教唆罪及び盗品等有償譲受け罪が成立し,両罪は併合罪となる。
2. 甲は,脇見しながら自動車を運転したため,自車前方で信号待ちのため停車していた乙運転の自動車に気付くのが遅れ,同車に自車を追突させ,その衝撃で乙運転の自動車を前方に押し出し,同車の前方に停車中の丙運転の自動車に追突させ,これにより乙が死亡し,丙は傷害を負った。甲には,乙に対する自動車運転過失致死罪及び丙に対する自動車運転過失傷害罪が成立し,両罪は併合罪となる。
3. 甲は,乙を殺害する目的で,乙の住居に侵入し,同住居内で乙を殺害した。甲には,住居侵入罪及び殺人罪が成立し,両罪は併合罪となる。
4. 甲は,自宅で乙を殺害し,その死体を遠方の山林に埋めた。甲には,殺人罪及び死体遺棄罪が成立し,両罪は牽連犯となる。
5. 甲は,乙から同人名義のクレジットカードを窃取し,Aデパートにおいて,店員に対し,乙に成り済まして同クレジットカードを呈示して商品の購入方を申し込んだが,同店員に盗難カードであることを見破られたため,商品を手に入れることができなかった。甲には,窃盗罪及び詐欺未遂罪が成立し,両罪は牽連犯となる。
「平成20年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006413.pdf)をもとに作成