司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成20年 刑事系科目

第15問 (配点: 3)


身分犯の共犯に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。

1. 刑法第65条第1項は,真正身分犯の成立及び科刑について規定し,同条第2項は,不真正身分犯の成立及び科刑について規定していると解する見解に立ちつつ,常習賭博罪における常習性も身分に含まれると解すると,賭博の非常習者甲が賭博の常習者乙を教唆して賭博をさせた場合,乙には常習賭博罪が成立し,甲には同罪の教唆犯が成立する。

2. 刑法第65条について前記1と同様の見解に立ちつつ,事後強盗罪は「窃盗」という身分を有する者だけが法益を侵害し得る身分犯であって,他の犯罪の加重類型ではないと解すると,窃盗犯人甲が,逃走中,追跡してきた被害者乙に対し,逮捕を免れるため,乙の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加えた際,その事情を知った丙が,甲の暴行行為を幇助した場合,丙が窃盗行為に全く関与していなかったとしても,丙には事後強盗罪の幇助犯が成立し,その刑が科される。

3. 刑法第65条について前記1と同様の見解に立ちつつ,目的犯における目的も身分に含まれると解すると,営利の目的を有する甲が,成人乙を買い受けるに際し,かかる目的を有しない丙がこれを幇助した場合,甲には営利人身買い受け罪が成立し,丙には人身買い受け罪の幇助犯が成立する。

4. 刑法第65条第1項は,真正身分犯及び不真正身分犯を通じて共犯の成立について規定し,同条第2項は不真正身分犯の科刑について規定していると解する見解によれば,財物の非占有者甲が,財物を業務上占有する乙を教唆して当該財物を横領させた場合,甲には業務上横領罪の教唆犯が成立し,単純横領罪の刑が科せられる。

5. 刑法第65条第2項の「身分のない者には通常の刑を科する」の意義について,身分に応じて,加重又は減軽された身分犯が成立すると解する見解によれば,未成年者乙の保護責任者である実母の甲が,保護責任者でない甲の内縁の夫丙を教唆して乙を山中に遺棄させた場合,甲には保護責任者遺棄罪の教唆犯が成立し,丙には単純遺棄罪が成立する。

「平成20年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006413.pdf)をもとに作成

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