司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成20年 刑事系科目

第6問 (配点: 3)


次の【事例】における甲の罪責について,「甲には犯人隠避教唆罪及び証拠偽造教唆罪が成立し,両罪は観念的競合となる。」との結論に達した場合,後記アからオまでの【論点と見解】のうち,この結論を導くための論拠となり得ないものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。

【事例】

甲は,東京都内の銀行で強盗を行ってその後逃走したが,警察の捜査が自己に及んでいることを知り,アリバイ証人を作って自己の刑事責任を免れようと企て,知人の乙に対して,上記犯行の時刻ころ,乙と一緒に大阪市内にいたことにしてほしいと依頼して,その旨承諾させ,同人をして,甲の依頼に沿う内容虚偽の上申書を作成させた上,これを甲の強盗事件を捜査していた警察署の警察官に提出させた。

【論点と見解】

ア. 犯人隠避罪の「隠避」の意味について,蔵匿以外の方法により官憲の発見逮捕を免れさせる一切の行為をいうが,犯人の逃走を容易にさせることによって官憲による犯人の身柄の確保を妨げる行為に限り,官憲による犯人の特定作用を妨げ,その結果として犯人の身柄の確保を妨げる行為は含まないとする見解

イ. 証拠偽造罪の「証拠」の意味について,参考人の虚偽供述は,「証拠」に含まれるが,文書化されたものに限るとする見解

ウ. 証拠偽造罪の「偽造」の意味について,文書偽造罪と同様,作成名義を偽る場合に限るとする見解

エ. 証拠偽造教唆罪の成否について,被教唆者・教唆者以外の者の刑事事件に関する証拠を偽造するように教唆し,これが実行された場合に限って成立するとする見解

オ. 犯人隠避罪と証拠偽造罪の罪数関係について,両者の保護法益は,広義においては国家の刑事司法作用を保護するものであるが,前者は犯人の確保の観点から,後者は適正な証拠の収集の観点から,それぞれこれを妨害する行為を処罰するものであって,保護法益が異なることを重視する見解

1. ア イ ウ
2. ア ウ エ
3. ア エ オ
4. イ ウ オ
5. イ エ オ

「平成20年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006413.pdf)をもとに作成

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