不法行為における過失相殺に関する次のアからエまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
ア. 夫が妻を同乗させて運転する自動車と第三者が運転する自動車とが,第三者と夫の双方の過失が競合して衝突したため,負傷した妻が第三者に対し損害賠償を請求した場合には,特段の事情のない限り,第三者の賠償額を定めるにつき夫の過失を被害者側の過失として斟酌することができる。
イ. 被害者が未成年である場合,その過失を斟酌するには,被害者たる未成年者に行為の責任を弁識する能力が必要である。
ウ. 被害者が幼児である場合における被害者側の過失とは,被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失をいうのであり,両親より幼児の監護を委託された保育園の被用者の過失は含まれない。
エ. 身体に対する加害行為と発生した損害との間に相当因果関係がある場合において,その損害が加害行為のみによって通常発生する程度や範囲を超えるものであり,かつ,その損害の拡大について被害者の心因的要因が寄与しているときは,損害賠償額を定めるにつき,過失相殺の規定を類推適用して,損害の拡大に寄与した被害者の心因的要因を斟酌することができる。
1. ア
2. イ
3. ウ
4. エ
5. 誤っているものはない
「平成20年 短答式試験 民事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006412.pdf)をもとに作成