司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成19年 刑事系科目

第13問 (配点: 3)


学生AないしEは,次の【事例】における乙に対する横領罪の成否について,後記【発言】のとおりの意見を述べた。乙に対する横領罪の成立を肯定する意見を述べた学生を選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

【事例】

乙は,甲から,公務員丙に対し甲所有の宝石を賄賂として贈ることを依頼されてその宝石の交付を受けたが,その後,この宝石を売却してその代金を自己の用途に費消しようと考え,この宝石を売却した。

【発言】

学生A. 民法第708条にいう「給付」とは,終局的利益を与えるもの,すなわち所有権付与を意味し,甲が贈賄の目的に基づいて乙に宝石を寄託することは不法原因給付には当たらない。

学生B. 民法と刑法とでは目的が異なる。この事例では,委託者甲の側に保護に値する利益があるかどうかという視点から考えるべきであり,窃盗犯人の占有する盗品の窃取を処罰すべきであることとの均衡も考慮すべきである。

学生C. 甲から乙への宝石の交付は民法第708条の不法原因給付に当たるから,不法原因給付物である宝石の所有権は,甲が乙に対し宝石の返還を請求できないことの反射的効果として乙に帰属するに至った。

学生D. 横領罪の目的物は単に犯人の占有する他人の物であることを要件としているにすぎず,必ずしも物の給付者において民法上その返還を請求することができることを要件としていない。

学生E. 私の考えと反対の考え方を採ると,民法上宝石の返還義務のない者に宝石の返還を強制することとなり,全体としての法秩序の統一性を破ることになる。

1. A,D
2. B,C,E
3. A,B,C
4. A,B,D
5. C,D,E

(参照条文)民法
第708条 不法な原因のために給付をした者は,その給付したものの返還を請求することができない。ただし,不法な原因が受益者についてのみ存したときは,この限りでない。

「平成19年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006373.pdf)をもとに作成

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