[汚職の罪]に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものはどれか。
1. 公務員が賄賂を受け取って,他の公務員の職務について働き掛けを行った場合,違法な行為の働き掛けがあったときにのみあっせん収賄罪が成立し,他の公務員の裁量判断に不当な影響を及ぼす程度では同罪は成立しない。
2. 収賄罪において賄賂と対価関係に立つ行為は,法令上公務員の一般的職務権限に属する行為であれば足り,公務員が具体的事情の下においてその行為を適法に行うことができたかどうかは,問うところではない。
3. 公務員が自己に代わって債務を弁済してもらったことが賄賂になる場合のように,賄賂として収受した無形の利益についてはおよそ没収の対象とはならないが,金銭に換算可能であれば,その価額は追徴しなければならない。
4. 公務員が賄賂として関係業者から借金をした場合,借金という形をとっても実は金銭の贈与を受ける趣旨であれば,当該金銭は没収の対象となるが,本当に借金したにすぎない場合には,刑法第197条の5の規定によっては,受領した金銭を没収することはできない。
5. 公務員が職務上知り得た秘密を漏らすことに関し,請託を受けて賄賂を収受したものの,実際には秘密を漏らさなかった場合には,受託収賄罪が成立するが,秘密を漏らした場合には,加重収賄罪が成立する。
「平成19年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006373.pdf)をもとに作成