次の【事例】における甲の自首の成否に関し,後記アからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し 正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
【事例】
甲は,空腹を感じたが所持金がなかったことから,飲食店Aにおいて無銭飲食をした。そして,同店店主乙から飲食代金の支払を請求されるや,乙に対し,「金はない。」と言いながら所携のナイフを乙に突き付けて脅迫し,乙がひるんだすきにその場から逃走した。
しかし,この先も生活費が手に入る見込みがなかった甲は,いっそのこと刑務所で服役して飢えをしのごうと考え直し,付近の警察署に出頭するため,上記ナイフを手に持ったまま同署の前まで歩いていった。捜査機関は,この時点でいまだ甲による上記無銭飲食の事実を認識していなかったが,同署の警察官Xは,ナイフを手に持った甲の姿を見て不審者と認め,甲に対する職務質問を開始した。甲は,その職務質問に対し,警察官Xに無銭飲食の事実を告げ,ナイフも提出した。
ア. 自首が成立するためには,犯人が反省悔悟に出たものであることを要するから,甲のようないわゆる刑務所志願を目的とする場合には,自首は成立しない。
「平成19年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006373.pdf)をもとに作成