次の【記述】の中の①から⑤までの( )内に,狭義の共犯(教唆犯及び幇助犯)が成立するための要件に関する後記のAからDまでの各【見解】から適切なものを入れた場合,( )内に入るものの組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。なお,一つの( )内に二つ以上の見解が入る場合もある。
【記述】
(①)とする見解によれば,12歳の乙が,甲に唆されたことにより,V方から現金を盗んだという事例では,(甲に窃盗罪の教唆犯が成立する可能性があるが,(②)とする見解によると,甲に窃盗罪の教唆犯が成立する余地がないことになる。また,甲が,故意のない乙を唆して,ある故意犯に当たる行為を実行させた場合,故意が構成要件の要素であるとすれば,(③)とする見解に立たない限り,甲には教唆犯は成立しないことになる。さらに,乙とVが殴り合っているのを発見した甲が,かねてからVに対する反感を持っていたことから,乙をしてVに怪我を負わせる意図で乙に木刀を渡したところ,乙がその木刀でVを殴って怪我を負わせたが,実は乙はVから突然襲われてやむを得ず殴り合いになったもので,乙には正当防衛が成立するという事案の場合,(④)とする見解に立てば,甲には傷害罪の幇助犯が成立する可能性があるが,(⑤)とする見解に立つと,甲には傷害罪の幇助犯は成立しないことになる。
【見解】
A. 共犯者の固有の行為としての教唆・幇助行為があれば足り,被教唆者・被幇助者が犯罪を実行したか否かは問わない。
B. 正犯が一定の行為を行ったことを要するが,その内容としては,正犯の行為が構成要件に該当すれば足りる。
C. 正犯が一定の行為を行ったことを要するが,その内容としては,正犯の行為が構成要件に該当し,かつ,違法であることを要する。
D. 正犯が一定の行為を行ったことを要するが,その内容としては,正犯の行為が構成要件,違法性及び責任を備えていなければならない。
1. ①A,B,C ②D ③A ④A,B ⑤C,D
2. ①B,C,D ②A ③D ④B,C,D ⑤A
3. ①A,B ②C,D ③A ④B,C,D ⑤A
4. ①A,B,C ②D ③A ④C,D ⑤A,B
5. ①A,B ②C,D ③D ④A,B ⑤C,D
「平成19年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006373.pdf)をもとに作成