司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成19年 刑事系科目

第3問 (配点: 2)


教授と学生A及びBが,刑法第110条の建造物等以外放火罪の成立要件である「公共の危険」に関する議論をしている 次の【発言】中の①から⑤までの( )内から適切な語句を選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

【発言】

教授. 刑法第110条第1項に規定される建造物等以外放火罪は,条文上「公共の危険」の発生を要求していますが,Aさんは,この「公共の危険」の内容について,どのように考えますか。

学生A. 私は,「公共の危険」とは,①(a. 現住建造物等又は他人所有の非現住建造物等に対する延焼の危険・b. 現住建造物等又は他人所有の非現住建造物等に限定せず,不特定又は多数の人の生命,身体又は財産に対する危険)をいうと理解しています。

教授. Aさんの考え方は,判例の立場と同じですね。

学生A. はい,そうです。

学生B. 私は,判例の立場には反対しています。Aさんの考え方だと,例えば,犯人が小さなゴミ箱1個に放火した際,たまたまその横に置き忘れられていた不特定人の小さな物品1個に延焼の危険が発生しても,「公共の危険」が発生したとされかねず,不当な結果にならないでしょうか。

学生A. 私の立場に立っても,各事案ごとの具体的状況の中で火災に基づく危険の拡大作用が認められるかどうかを判断することになると思います。

教授. 次に,建造物等以外放火罪が成立するためには,「公共の危険」の認識が必要かどうかについて議論しましょう。

学生B. 私は,「公共の危険」の認識は,②(c. 必要・d. 不要)と考えます。なぜなら,③(e. 刑法第110条の条文の文言が「よって公共の危険を生じさせた」となっている・f. 責任主義の原則から考えて結果的責任は否定されるべきである)からです。

学生A. しかし,あなたの考えでは,④(g. 実際上,現住建造物等放火罪又は他人の所有の非現住建造物等放火罪の未必の故意が認められてしまう・h. 基本犯が不可罰である行為の結果的加重犯を認めることになる)という問題が生じませんか。

学生B. 私の立場でも,刑法第110条における「公共の危険」の認識内容について,延焼の危険の認識と区別することは可能だと考えます。

教授. この点に関するあなたの考え方は,判例と同じですか。

学生B. 私は,判例に⑤(i. 賛成・j. 反対)する立場です。

1. ①a②d③f④h⑤i
2. ①a②d③e④g⑤j
3. ①b②c③e④h⑤j
4. ①b②d③e④g⑤i
5. ①b②c③f④g⑤j

「平成19年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006373.pdf)をもとに作成

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