会社法第429条第1項に基づく取締役の第三者に対する責任に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
1. 辞任後も辞任の登記が未了であることによりその者がなお取締役であると信じて会社と取引をした第三者に対し,辞任した取締役は,登記申請権者である当該会社の代表者に対し辞任登記を申請しないで不実の登記を残存させることについて黙示に承諾をしていた場合には,責任を負う。
2. 取締役の第三者に対する責任が発生するためには,第三者に対する加害についての悪意又は重過失が要件となる。
3. 取締役の第三者に対する責任は会社法の定める法定責任であるから,その遅延損害金の利率は年6分である。
4. 取締役の第三者に対する責任は不法行為責任ではないから,賠償すべき損害額を算定するに当たり,第三者に過失があったとしても,過失相殺をすることはできない。
5. 取締役が悪意又は重大な過失となる放漫経営をし,当該放漫経営により倒産した会社に対する債権を回収することができなくなる損害を被った会社債権者は,当該取締役の責任を追及することができる。
「平成19年 短答式試験 民事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006372.pdf)をもとに作成