司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成18年 刑事系科目

第38問 (配点: 3)


次の判例(最高裁判所平成16年2月16日第二小法廷判決・刑集58巻2号133頁)の【判旨】中の①から⑥までの( )内に後記【語句群】から適切な語句を入れた場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

【審理経過】

検察官は,「被告人は,平成○年○月○日,H市内において,Vに対し,ナイフ1本を示すなど,兇器を示して脅迫した。」旨の暴力行為等処罰に関する法律違反事件1件(以下,同公訴事実を「本件公訴事実」という。)を起訴した。

第一審は,本件公訴事実について,被告人を無罪とする旨理由中で説示した上,「被告人は,業務その他正当な理由による場合でないのに,平成○年○月○日,H市内において,ナイフ1本を携帯した。」旨の銃砲刀剣類所持等取締法違反の事実(以下「本件犯罪事実」という。)を認定し,被告人を罰金10万円に処し,本件公訴事実には本件犯罪事実の主張も含まれているので,訴因変更の手続は不要である旨判示した。

被告人は,第一審判決中の有罪部分について控訴を申し立てたが,検察官は,控訴を申し立てなかった。

原審は,「本件公訴事実と併合罪の関係にあって起訴されていない本件犯罪事実を認定し有罪の判決をした第一審判決には,刑事訴訟法第378条第3号後段の審判の請求を受けない事件について判決をした違法があるから,破棄を免れない。」旨の弁護人の控訴趣意をいれるとともに,職権調査の結果によれば,本件公訴事実について被告人を無罪とする旨主文で言い渡していない第一審判決には,同号前段の審判の請求を受けた事件について判決をしなかった違法もあると認められる旨判示して,第一審判決中の有罪部分を破棄し本件を第一審裁判所に差し戻した。

これに対し,被告人は,上告を申し立てた。

【判旨】

原判決が,第一審判決には刑事訴訟法第378条第3号前段及び後段の違法があるとしてこれを破棄した点は正当であるが,本件を第一審裁判所に差し戻した点は,是認することができない。

上記【審理経過】でみたとおり,第一審判決は,罪数に関する法解釈を誤り,(①)である同号前段及び後段の違法を犯していたのに,検察官は控訴せず,被告人は,本件公訴事実について第一審判決の理由中で無罪とされ不服を申し立てる利益がなかったことから,第一審判決中の有罪部分である本件犯罪事実についてのみ同号後段の違法を理由に控訴を申し立てたが,本件公訴事実は,被告人の控訴申立てに伴い,法律上当然に原審に(②)係属するところとなったのである。このような訴訟の経過にかんがみると,被告人の控訴申立てを契機として,原審裁判所が,職権により本件公訴事実について調査を加え,同号前段の違法がある旨指摘して第一審判決を破棄するにとどまらず,本件公訴事実を(③)とする余地があるものとして第一審裁判所に差し戻し,あるいは自ら(③)の判決をすることは,職権の発動の限界を超えるものであって許されないというべきである。そうすると,本件公訴事実については,第一審判決の(④)の結論に従うほかないのであるから,原審裁判所としては,本件を第一審裁判所に差し戻すのではなく,(⑤)して被告人に対し(④)を言い渡すべきであったといわねばならない。

また,本件犯罪事実は,公訴提起がなかったにもかかわらず,第一審裁判所がこれを認定して有罪の判決をしたため,上記控訴申立てに伴い事実上原審に係属するに至ったものであるから,本件犯罪事実については,公訴提起の手続がその規定に違反したため無効である場合に準じて,(⑥)を言い渡すべきであったと解される。

したがって,原判決は,上記の点において判決に影響を及ぼすべき法令の違反があり,これを破棄しなければ著しく正義に反すると認められる。

【語句群】

a. 公訴棄却
b. 免訴
c. 管轄違い
d. 移送
e. 移審
f. 有罪
g. 無罪
h. 破棄
i. 自判
j. 差戻
k. 相対的控訴理由
l. 絶対的控訴理由

1. bdfgik
2. befgjk
3. adfghk
4. aefghl
5. aefgil

「平成18年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006519.pdf)をもとに作成

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