次の【事例】の甲の罪責に関する後記の【記述】中の( )内から適切な語句を選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。
【事例】
甲は,被害者乙に罵倒されたことに憤激し,乙に対し,暴行の故意で,その顔面をこぶしで殴打し,胸腹部を足で蹴る暴行を長時間にわたって継続的に加え,乙に顔面及び胸腹部打撲の傷害を負わせた上,最終的にその腹部を足で蹴った結果,内臓破裂の傷害を負わせて同人を死亡させた。甲は,暴行を開始した当初は責任能力に何ら問題はなかったが,暴行の開始後に飲酒し始め,その後も暴行を継続しながら飲酒し続けたため次第に酩酊し,顔面及び胸腹部打撲の傷害を負わせた時点では責任能力を有していたものの,犯行の途中で病的酩酊になり,乙の腹部を足で蹴って致命傷である内臓破裂の傷害を負わせた時点では,心神喪失の状態になっていた。
【記述】
「傷害致死の実行行為を,致命傷である内臓破裂の傷害を発生させた直接の原因である『乙の腹部を足で蹴った行為』であると解した場合には,行為と責任の同時存在の原則に(a. 例外を認めたとしても・b. 例外を認めない限り),傷害致死罪の成立は認められない。これに対し,傷害致死の実行行為を,甲が心神喪失の状態となった原因である『飲酒行為』であると解した場合には,行為と責任の同時存在の原則の(c. 枠内で・d. 例外として),傷害致死罪の成立を認めることが可能である 後者の見解は,(e. 間接正犯・f. 原因において自由な行為)として可罰性を認めるものであるが,この見解を採ると,(g. 間接正犯・h. 原因において自由な行為)において構成要件的結果を惹起することについての認識・予見のほかに,他人を道具として利用することについての認識・予見が必要とされているのと同様,自己を道具として利用することについての認識・予見が必要と解される。この事例において,甲は,飲酒し始めた時点で既に乙に対する憤激から暴行を開始しており,その後も憤激が冷めることなく暴行を継続しながら飲酒し続けているのであるから,自らが心神喪失の状態と(i. なることなく・j. なった後も)乙に対する暴行を継続することについての認識・予見があったと解される場合もあり,その場合には傷害致死罪が成立すると思われる。」
1. acehi
2. adfgj
3. bcfgj
4. bdehi
5. bdfgj
「平成18年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006519.pdf)をもとに作成