罪数に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものを2個選びなさい。
1.甲は、転売目的でA所有のバッグを盗み、自宅に持ち帰ったが、転売先が見付からなかったため、同バッグを焼却した。この場合、甲に窃盗罪及び器物損壊罪が成立し、両罪は併合罪となる。
2.甲は、乙に対し、「バッグを盗んできたら売却してやる。」などと言って窃盗を教唆し、乙が盗んだバッグを受け取り、同バッグの売却をあっせんした。この場合、甲に窃盗教唆罪及び盗品等有償処分あっせん罪が成立し、両罪は併合罪となる。
3.甲は、当初より代金を支払う意思も能力もないのに、これらがあるように装って、民宿において朝食付きの宿泊利用を申し込み、同民宿に宿泊し、かつ、同民宿で朝食の提供を受けた。この場合、甲に刑法第246条第1項の詐欺罪及び同条第2項の詐欺罪が成立し、両罪は併合罪となる。
4.甲は、真実は募金を災害復興支援のために使うつもりはなく、自己のために費消するつもりであるのにこれを隠して、事情を知らない多数のアルバイトの募金活動員に、連日、駅前で募金箱を持たせ、「災害復興支援のために募金をお願いします。」と連呼させ、多数回にわたり、不特定多数の通行人からそれぞれ少額の現金を募金箱に投入させてだまし取った。この場合、甲に詐欺罪の包括一罪が成立する。
5.甲は、他人から盗んだクレジットカードを使用して商品をだまし取ろうと考え、A名義のクレジットカードを窃取し、家電量販店において、店員に対し、Aに成り済まして同クレジットカードを提示して商品の購入を申し込んだが、同店員に盗難カードであることを見破られたため、商品を手に入れることができなかった。この場合、甲に窃盗罪及び詐欺未遂罪が成立し、両罪は牽連犯となる。
「令和6年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001421189.pdf)をもとに作成