司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成29年 刑法

第11問 (配点: 2)


次の【事例】に関する後記アからエまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し,誤っているものを全て選んだ場合の組合せは,後記1から5までのうちどれか。

【事例】

土木作業員甲及び乙は,現場監督者丙の監督の下で,X川に架かる鉄橋の橋脚を特殊なA鋼材を用いて補強する工事に従事していたが,作業に手間取り,工期が迫ってきたことから,甲及び乙の2人で相談した上で,より短期間で作業を終えることができる強度の弱いB鋼材を用いた補強工事を共同して行った。その結果,工期内に工事を終えることはできたものの,その後発生した豪雨の際,A鋼材ではなくB鋼材を用いたことによる強度不足のために前記橋脚が崩落し,たまたま前記鉄橋上を走行していたV1運転のトラックがX川に転落し,V1が死亡した。なお,甲及び乙は同等の立場にあり,甲及び乙のいずれについても,B鋼材を工事に用いた場合に強度不足のために前記橋脚が崩落することを予見していなかったものの,その予見可能性があったものとする。

【記述】

ア.甲及び乙には,強度の弱いB鋼材で補強工事を行うことの意思連絡はあるが,不注意の共同はあり得ないから,甲及び乙に業務上過失致死罪の共同正犯が成立する余地はない。

イ.丙は,甲及び乙が強度の弱いB鋼材で補強工事を行っていることを認識していたが,工期が迫っていたことから,これを黙認したという場合,直接行為者である甲及び乙に過失が認められたとしても,更に丙に過失が認められる余地がある。

ウ.仮に,甲及び乙において,V1が死亡するに至る実際の因果経過を具体的に予見することが不可能であった場合,甲及び乙には業務上過失致死罪は成立しない。

エ.仮に,V1運転のトラックの荷台に,V1に無断でV2が乗り込んでおり,同トラックがX川に転落したことによって,V1及びV2の両名が死亡した場合,甲及び乙にはV2に対する業務上過失致死罪は成立しない。

1.ア イ ウ
2.ア ウ エ
3.ア エ
4.イ ウ
5.ウ エ

「平成29年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001224570.pdf)をもとに作成

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