各種偽造の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものを2個選びなさい。
1.甲は,他人の自動車運転免許証に甲の写真を貼り付けた偽造自動車運転免許証を入手し,これを携帯して自動車を運転中に検問で停止を求められ,情を知らない警察官に同免許証を真正に成立したものとして提示した。提示した時には同免許証に表示されている有効期間が経過していたとしても,甲には偽造公文書行使罪が成立する。
2.公務員でない甲は,情を知らない公務員に対し虚偽の申立てをして登記簿に不実の記載をさせ,その登記簿謄本の交付を受けた。甲には虚偽公文書作成罪の間接正犯が成立する。
3.甲は,情を知らずに釣銭として偽造通貨を受け取ったところ,その後,それが偽造通貨であることに気付いたが,行使の目的でそのまま所持した。甲には偽造通貨収得罪が成立する。
4.甲は,行使の目的で,他人が振り出した額面10万円の小切手の金額欄に「0」を加え,額面100万円の小切手に改ざんした。甲には有価証券変造罪が成立する。
5.弁護士資格のない甲は,X弁護士会に実在する自己と同姓同名の弁護士を装い,これを信じた乙から依頼を受けて弁護士としての業務を行った後,乙から報酬を得るために,「X弁護士会所属 弁護士甲」名義の弁護士報酬金請求書を作成した。甲には私文書偽造罪が成立しない。
「平成29年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001224570.pdf)をもとに作成