次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア.甲は,乙を殺害する目的で,乙を含む複数の者の飲用に供されているペットボトル内のお茶に致死量の劇薬を投入した。その結果,そのお茶を飲用した複数の者全員が死亡した。この場合,甲には,前記お茶を飲用して死亡した者の数に応じた殺人罪の故意が認められる。
イ.覚せい剤を含有する粉末を所持していた甲は,同粉末が身体に有害で違法な薬物であることは認識していたが,覚せい剤や麻薬ではないと認識していた。この場合,甲には覚せい剤取締法違反(覚せい剤所持)の罪の故意が認められる。
ウ.甲は,客観的にはわいせつな文書を,その意味内容は理解しつつも,刑法上のわいせつな文書に該当しないと考え,多数の者に販売した。この場合,甲にわいせつ物頒布罪の故意は認められない。
エ.甲は,乙宅前路上に置かれていた自転車を,乙の所有物と認識して持ち去ったが,実際には同自転車は無主物だった。この場合,甲には遺失物横領罪が成立する。
オ.甲は,第三者が起こした交通事故により瀕死の重傷を負い路上に倒れていた乙を,既に死亡していると思って山中に遺棄した。この場合,甲に死体遺棄罪は成立しない。
1.ア エ
2.ア オ
3.イ ウ
4.イ オ
5.ウ エ
「平成29年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001224570.pdf)をもとに作成