次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,甲に( )内の罪名の間接正犯が成立しないものを2個選びなさい。
1.甲は,是非弁別能力を有する12歳の長男乙に対し,強盗の犯行方法を教示し,その際に使う凶器を提供して強盗を実行するよう指示したが,その指示は乙の意思を抑圧するものではなく,乙は,自らの意思により強盗の犯行を決意し,甲から提供された凶器を使って,状況によって臨機応変に対処して強盗を実行した。(強盗罪)
2.医師ではない甲は,妊婦乙からの依頼を受けて乙への堕胎手術を開始したが,その最中に乙の生命が危険な状態に陥ったため,医師丙に依頼し,胎児を乙の母体外に排出させた。(同意堕胎罪)
3.公務員ではない甲は,公証人乙に対して虚偽の申立てをし,事情を知らない乙をして,公文書である公正証書の原本に虚偽の記載をさせた。(虚偽公文書作成罪)
4.甲は,事情を知らない新聞社の従業員乙に依頼して,同社の新聞紙上に,丙に無断で丙名義の事実証明に関する広告文を掲載させた。(私文書偽造罪)
5.甲は,乙所有の建材を自己の所有物であると偽って,事情を知らない丙に売却し,丙をして,乙の建材置場から当該建材を搬出させた。(窃盗罪)
「平成28年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001182605.pdf)をもとに作成