次のアからエまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aの知人Bは,料理が趣味であり,自宅のパソコンに料理のレシピのデータを保存していた。Aは,Bと口論をした際,Bが大事にしている同データを壊してやろうと思い,同パソコンをたたき壊した。同パソコンを壊したAの行為について,電子計算機損壊等業務妨害罪は成立せず,器物損壊罪が成立する。
イ.Aは,Bに成り済まし,銀行の窓口行員Cに対し,B名義の口座の預金をA名義の口座に振込入金するよう依頼した。Cは,AをBと思い込み,コンピュータの端末を操作して,同銀行が業務用に使用している電子計算機にアクセスし,前記依頼のとおり振込入金の処理をした。Bに成り済まし,Cに振込入金の処理を行わせたAの行為について,電子計算機使用詐欺罪が成立する。
ウ.Aは,盗んだ財布の中に,不正に作られた電磁的記録をその構成部分とするクレジットカードが入っていることに気付き,同カードを使用するつもりはなかったが,機会があれば友人に見せようと考え,同カードを自己の財布に入れて持ち歩いていた。同カードを持っていたAの行為について,不正電磁的記録カード所持罪は成立しない。
エ.Aは,同僚Bのパソコンに,コンピュータウイルスを感染させてBの業務を妨害しようと考え,コンピュータウイルスを作成したが,自宅のパソコンでその効果を試したところ,市販のウイルス対策ソフトで検出されてしまうことが分かったため,同ウイルスを使用することは断念した。同ウイルスを作成して試した一連のAの行為について,電子計算機損壊等業務妨害罪の未遂罪が成立する。
1.ア イ
2.ア ウ
3.ア エ
4.イ エ
5.ウ エ
「平成28年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001182605.pdf)をもとに作成