【以下の問題の解答に当たっては,国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用を考慮する必要はない。】
不法行為に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。
1.不法行為による損害賠償債務は,不法行為の時に,催告を要することなく遅滞に陥る。
2.被用者の重大な過失により火災が発生した場合において,使用者にその被用者の選任及び監督について過失があるときは,使用者は,その選任及び監督についての過失が重大なものではないことを理由として,その火災により生じた損害を賠償する責任を免れることはできない。
3.事業の執行について不法行為を行った被用者が損害を賠償する責任を負うときであっても,その被用者を雇用する法人の代表者は,被用者の選任又は監督を現実に担当していなければ,被用者の不法行為について,代理監督者として損害を賠償する責任を負わない。
4.交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害のために労働能力の一部を喪失した後,別の原因により死亡した場合,労働能力の一部喪失による財産上の損害の額の算定に当たっては,交通事故と被害者の死亡との間に相当因果関係があって死亡による損害の賠償をも請求できる場合に限り,死亡後の生活費を控除することができる。
5.自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていない未成年者の行為により火災が発生した場合において,未成年者にその火災につき重大な過失がなかったときは,その未成年者を監督する法定の義務を負う者はその火災により生じた損害を賠償する責任を負わない。
「平成28年 短答式試験 民法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001182604.pdf)をもとに作成