【以下の問題の解答に当たっては,国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用を考慮する必要はない。】
留置権及び質権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.民法上の留置権の成立には,目的物と牽連性のある債権の存在及び債権者による目的物の占有が必要であるが,その債権の成立時に債権者が目的物を占有している必要はない。
イ.質権者が任意に質権設定者に質物を返還した場合,質権は消滅する。
ウ.必要費償還請求権を被担保債権として建物を留置している留置権者は,その建物のための必要費を更に支出した場合,後者の必要費償還請求権を被担保債権として留置権を行使することはできない。
エ.仮登記担保権の実行により不動産の所有権を取得した仮登記担保権者が,債務者に清算金を支払わないでその不動産を第三者に譲渡した場合,債務者は,清算金支払請求権を被担保債権として,譲受人たる第三者に対し,その不動産につき留置権を行使することができる。
オ.質権の目的物を所有する債務者が,質権者に対して被担保債権を消滅させずに目的物の返還を求める訴訟を提起した場合に質権の主張が認められるときは,債務者の請求は棄却されるが,留置権の目的物を所有する債務者が,留置権者に対して被担保債権を消滅させずに目的物の返還を求める訴訟を提起した場合に留置権の主張が認められるときは,引換給付判決がされる。
1.ア イ
2.ア オ
3.イ ウ
4.ウ エ
5.エ オ
「平成28年 短答式試験 民法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001182604.pdf)をもとに作成