次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものはどれか。
1.甲は,Xを眠らせてXが左腕に着けていた高級腕時計を外して持ち去ろうと考え,Xに多量の睡眠薬を飲ませたが,Xが眠らなかったため,Xの腕時計に触れることすらできなかった。甲には昏酔強盗未遂罪が成立する。
2.拘置所に勾留中の甲は,逃走しようと考え,収容されていた房の壁を削り取って穴を開けたが,その穴が脱出可能な程度の大きさになる前に発見されたため,逃走行為に及ばなかった。甲には加重逃走未遂罪が成立する。
3.甲は,Xから現金を脅し取ろうと考え,「殺されたくなければ100万円をよこせ。」などとXを恐喝する内容の手紙をポストに投かんし,その手紙はX方に配達されたが,手紙を見たXの妻は冗談であると思い,その内容をXに伝えなかった。甲には恐喝未遂罪が成立する。
4.甲は,X方の居間に置かれた金庫に多額の現金が入れてあることを知り,これを盗む目的で,X方の無施錠のドアから玄関に入ったが,Xにその場で発見されたため,逃走した。甲には窃盗未遂罪が成立する。
5.甲は,Xに対し,Xの孫を装って電話をかけ,「おじいちゃん。金がなくて困っているので,今から言う俺の口座に100万円を送金して。」と言って現金をだまし取ろうとしたが,その声が孫の声と違うことに気付いたXは,甲から指定された口座に送金しなかった。甲には詐欺未遂罪が成立する。
「平成27年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001144533.pdf)をもとに作成