次の【見解】は,公訴を提起された被告人は誰かを特定する基準に関するものである。後記アからエまでの【事例】のうち,この【見解】によれば甲を被告人として扱うことが可能なものは幾つあるか。後記1から5までのうちから選びなさい。
【見解】
公訴を提起された被告人は誰かを特定する基準については,起訴状あるいは判決書の表示のみによってではなく,公訴を提起した検察官の意思や,現実に審理の過程において被告人として行動し,取り扱われた者が誰であるかも併せ考えて判定するのが相当である。
【事例】
ア.窃盗事件の真犯人甲が,現行犯人として逮捕された際に,乙と名のった結果,被疑者欄に「乙」と記載された勾留状により勾留され,勾留中のまま,被告人欄に「乙」と記載された起訴状により地方裁判所に公訴を提起されたが,第1回公判期日の前に,甲が乙と名のっていたことが発覚した。
イ.窃盗事件の真犯人乙が,逮捕・勾留されていない状態で取調べを受け,被告人欄に「乙」と記載された起訴状により地方裁判所に公訴を提起された後,甲は,乙から依頼を受けてその身代わりとして第1回公判期日に出頭したが,人定質問の段階で,身代わりであることが発覚した。
ウ.窃盗事件の真犯人甲が,逮捕・勾留されていない状態で取調べを受けた際に,乙と名のった結果,被告人欄に「乙」と記載された起訴状により地方裁判所に公訴を提起された。同起訴状の謄本を受け取った甲が,第1回公判期日に出頭したが,冒頭手続が終了した後,甲が乙と名のっていたことが発覚した。
エ.窃盗事件の真犯人甲は,逮捕・勾留されていない状態であったことから,乙に身代わりとなることを依頼した。乙が,同事件の被疑者として取調べを受けた結果,被告人欄に「乙」と記載された起訴状により地方裁判所に公訴を提起された。同起訴状の謄本を受け取った乙が,第1回公判期日に出頭したが,同期日の審理が終了した段階で,身代わりであることが発覚した。
1.0個
2.1個
3.2個
4.3個
5.4個
「平成26年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000123126.pdf)をもとに作成