司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成26年 刑事系科目

第19問 (配点: 3) 備考: 順不同(部分点なし)


次の【事例】及び【判旨】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,正しいものを2個選びなさい。

【事例】

暴力団組長である被告人は,被告人を警護するスワットと呼ばれる複数のボディーガードを配下に持ち,被告人が車両で移動する際には,拳銃及びそれに適合する実包(以下「拳銃等」という。)を携帯したスワットが被告人車両の前後の車両に乗車するなどして,被告人を警護することを常としていた。被告人は,本件犯行時,車両で移動したが,その際,拳銃等を携帯したスワットらが被告人車両の前後の車両に乗車し,被告人車両と隊列を組んで移動するなどして,被告人の警護に当たった。

【判旨】

被告人は,スワットらに対して拳銃等を携行して警護するように直接指示を下さなくても,スワットらが自発的に被告人を警護するために本件拳銃等を所持していることを確定的に認識しながら,それを当然のこととして受け入れて認容し,そのことをスワットらも承知しており,被告人とスワットらとの間に拳銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があった。そして,スワットらは被告人の警護のために本件拳銃等を所持しながら終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり,彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば,実質的には,正に被告人がスワットらに本件拳銃等を所持させていたと評し得る。よって,被告人には,本件拳銃等の所持について,スワットらとの間で,銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪の共謀共同正犯が成立する。

【記述】

1.【判旨】の考え方によれば,共謀共同正犯が成立するためには,実行行為者とその背後者の間に明示の意思連絡が常に必要なわけではない。

2.【判旨】の考え方によれば,およそ実行行為者とその背後者の間に意思連絡がある場合には,背後者について狭義の共犯が成立することはなく,共謀共同正犯が成立することとなる。

3.【判旨】の考え方によれば,共謀共同正犯が成立するためには,一般に,実行行為を行わない者に実行行為者に対する指揮命令権限が必要である。

4.【判旨】の考え方によれば,仮に【事例】において,現実には被告人がスワットらの拳銃等の所持を認識・認容していたのに,スワットらは,これらの所持に被告人が気付いていないと思っていた場合でも,被告人には共謀共同正犯が成立することとなる。

5.【判旨】では,被告人が犯行現場付近にいて犯行と密接な関係を保っていたことや被告人の組織内での地位が,被告人を共同正犯と評価する上での重要な事情として考慮されている。

「平成26年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000123126.pdf)をもとに作成

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