司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成26年 刑事系科目

第15問 (配点: 2)


次の【事例】及び各【見解】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,誤っているものはどれか。

【事例】

甲は,乙から裁判の証人として請求されてX裁判所から呼出しを受けたところ,証人尋問期日の3日前にその不出頭を懸念した乙から「俺が裁判所まで連れて行くから,証人尋問の日までここにいろ。」と言われ,見張りを付けられてマンションの一室に監禁された。甲は,自己の生命身体に対する危険は感じなかったものの,証人として出廷したくないと思い,同室に放火して騒ぎを起こし,見張りの者が消火に当たっている隙に逃亡しようと考え,同室の壁等に灯油をまいて放火し,同室の一部及びその上階の第三者が住む部屋の一部を焼損させた。

【見解】

A説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが,当該行為が危難を避けるための一つの方法と認められれば,法益権衡の要件を欠いても過剰避難が成立する。

B説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが,「やむを得ずにした行為」でなくとも法益権衡の要件を充たしていれば過剰避難が成立し,また,「やむを得ずにした行為」であって,法益権衡の要件を欠く場合にも過剰避難が成立する。C説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難,過剰避難とも認められず,過剰避難は,「やむを得ずにした行為」であって,かつ,法益権衡の要件を欠く場合に成立する。

【記述】

1.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であった」との事情がある場合,A説からは甲に過剰避難が成立することになる。

2.【事例】に,更に「事件当時,甲が部屋から脱出する手段はほかになかった」との事情がある場合,B説からは甲に過剰避難が成立することになる。

3.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であった」との事情がある場合,C説からは甲に過剰避難が成立することになる。

4.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であった」との事情がある場合,B説からは甲には緊急避難の成立も過剰避難の成立も認められない。

5.【事例】に,更に「事件当時,甲が部屋から脱出する手段はほかになかった」との事情がある場合,C説からは甲に過剰避難が成立することになる。

「平成26年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000123126.pdf)をもとに作成

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