司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成26年 刑事系科目

第13問 (配点: 3) 備考: 順不同(部分点なし)


故意に関する次の各【見解】についての後記1から5までの各【記述】のうち,正しいものを2個選びなさい。

【見解】

A説:故意の有無については,構成要件を基準にして判断すべきであり,殺人罪においては,行為者の認識した事実と発生した事実が,およそ「人を殺す」という点で一致していれば故意が認められる。

B説:故意の有無については,構成要件を基準にして判断すべきであるが,殺人罪においては,行為者の認識した事実と発生した事実が,「その人を殺す」という点で一致していなければ故意は認められない。

【記述】

1.A説に対しては,客体の錯誤と方法の錯誤の区別が必ずしも明らかではない場合があり,その場合の故意の有無につき,どのように判断するのか明確ではないとの批判がある。

2.B説に対しては,故意以外の構成要件該当性は法益主体ごとに判断するのに,故意の有無についてのみ法益主体の相違を問題にしないのは論理的でないとの批判がある。

3.侵害が生じた客体に錯誤はないが,侵害に至る因果関係に錯誤がある場合の故意の有無について,A説かB説かによる差はない。

4.駅のホームにいた人を甲だと思い,甲を殺そうと考え,電車が近づいてきたときにその人をホームから突き落としてれき死させたところ,その人が甲ではなく,別人の乙であった場合,A説・B説のいずれによっても,乙に対する殺人罪の故意が認められることになる。

5.狩猟中,動く物体を見付け,これを日頃から恨みを抱いていた甲だと思い,甲を殺そうと考え,その動く物体を狙って猟銃を発砲し,これに弾丸を命中させたが,実際に弾丸が命中したのは,甲ではなく,甲の飼い犬であった場合,A説によれば器物損壊罪の故意が認められ,B説によれば同罪の故意が認められないことになる。

「平成26年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000123126.pdf)をもとに作成

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