次のⅠないしⅢの【見解】は,公訴時効の根拠に関してのものである。【見解】に関する後記アからオまでの【記述】のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
【見解】
Ⅰ.時間の経過により犯罪行為の可罰性が消滅するので,訴追の対象としない。
Ⅱ.時間の経過により証拠が散逸し,公正な審理を行うことができなくなるので,訴追の対象としない。
Ⅲ.時間の経過により長期間訴追されなかったという被告人の法的地位の安定を図る必要があるので,訴追の対象としない。
【記述】
ア.Ⅰの見解に対しては,刑の軽重により,公訴時効が異なることを説明できないとの批判がある。
イ.Ⅰの見解に対しては,公訴時効完成後に公訴が提起された場合の判決が免訴という形式裁判であることを説明できないとの批判がある。
ウ.Ⅱの見解に対しては,犯人が国外にいる場合に公訴時効がその進行を停止することを説明できないとの批判がある。
エ.Ⅱの見解に対しては,法改正により,公訴時効の期間が延長された場合,特別の定めを置かない限り,既に行われた犯罪行為に対し,新法を適用することができないとの批判がある。
オ.Ⅲの見解に対しては,被告人の法的地位の安定は,正当な利益ないし権利といえるものではなく,公訴時効制度があることによる反射的利益にすぎないとの批判がある。
1.ア ウ
2.ア エ
3.イ ウ
4.イ オ
5.エ オ
「平成25年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000111056.pdf)をもとに作成