次の【事例】について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
【事例】
司法警察員は,甲が自宅において覚せい剤を密売しているとの被疑事実により,甲の逮捕状及び甲宅に対する捜索差押許可状の発付を得て,甲宅に赴いた。甲宅には,甲の妻Aのみが在宅していたことから,司法警察員は,①Aに前記捜索差押許可状を呈示した上で,甲宅に立ち入り,Aを立会人として捜索を実施し,覚せい剤や電子計量器などを差し押さえた。更に捜索を進めたところ,甲宅リビングルームのテーブル上に,甲が野球賭博を開張していたことを示すノートが発見されたことから,司法警察員はAにノートの提出を求めた。ノートは甲の所有物であったが,②Aは司法警察員にノートを任意に提出し,司法警察員がこれを領置した。捜索終了後,その日のうちに,司法警察員は甲が帰宅した旨の情報を得たことから,直ちに甲宅に赴き,③玄関から甲宅に立ち入り,在宅していた甲に逮捕状を示して通常逮捕した。翌日,Aは,甲の了解を得ずに前記ノートを提出したことを後悔し,④司法警察員に対してノートの還付を請求した。
【記述】
ア.下線部①につき,覚せい剤や電子計量器などが甲の所有物である場合には,甲に捜索差押許可状を呈示していない以上,司法警察員がこれらの物を差し押さえることは違法である。
「平成25年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000111056.pdf)をもとに作成