司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成25年 刑事系科目

第19問 (配点: 2)


次の【事例】及び【見解】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,正しいものはどれか。

【事例】

Aは,殺意をもって,Bを狙い,けん銃を発射したところ,その弾丸がBを貫き,たまたまBの背後を通行中のCにも命中したが,B,C共に死亡しなかった。なお,Aは,けん銃を発射した時点で,Cの存在を認識していなかった。

【見解】

犯罪の故意があるとするには,罪となるべき事実の認識を必要とするものであるが,犯人が認識した罪となるべき事実と現実に発生した事実とが必ずしも具体的に一致することを要するものではなく,両者が法定の範囲内において一致することをもって足りる。人を殺す意思のもとに殺害行為に出た以上,犯人の認識しなかった人に対してその結果が発生した場合にも,その結果について殺人の故意があり,Bに対する所為についてはもちろんのこと,Cに対する所為についても殺人未遂罪が成立し,両罪は観念的競合となる。

【記述】

1.この【見解】によれば,甲が殺意をもって,乙を狙い,けん銃を発射したところ,弾丸が乙に命中したが,乙は死亡せず,乙を貫通した弾丸が甲が予期しなかった丙に命中して丙が死亡した場合,甲には,丙に対する殺人既遂罪が成立するが,乙に対する犯罪は成立しない。

2.この【見解】によれば,甲が殺意をもって,乙を狙い,けん銃を発射したところ,弾丸が乙に命中して乙が死亡し,乙を貫通した弾丸が甲が予期しなかった丙にも命中して丙も死亡した場合,甲には,乙に対する殺人既遂罪,丙に対する過失致死罪が成立する。

3.この【見解】に対しては,殺人罪は被害者ごとに成立する犯罪であるから,被害者の個別性は構成要件的に重要な事実であるとの批判がある。

4.この【見解】に対しては,いわゆる客体の錯誤の場合と方法の錯誤の場合とで故意の有無について結論が異なるのは不合理であるとの批判がある。

5.この【見解】に対しては,1人を殺す故意しかないのに,1人を殺した場合より処断刑が重くなるのは妥当ではないとの批判がある。

「平成25年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000111056.pdf)をもとに作成

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