取締役の善管注意義務違反の有無については,取締役の意思決定の過程及び内容に著しい不合理がないかどうかという観点から判断されるべきであり,そのような著しい不合理がなければ取締役の善管注意義務違反はないとすべきであるとの見解がある。次の1から5までの各記述のうち,この見解と整合しないものはどれか。
1.企業経営には一定のリスクが伴うので,取締役の経営判断に対して事後的又は結果論的な評価をすることにより,取締役を萎縮させるべきではない。
2.取締役の経営判断は,経営の専門家によるものであるから,尊重されるべきである。
3.株主は,株主総会において選任した取締役に会社の経営を委ね,取締役は,これを引き受けたのであるから,取締役の経営判断の失敗については,取締役が責任を負うべきである。
4.取締役が経営判断を行うに当たり弁護士の意見を聴取することは,取締役の意思決定の過程の合理性を裏付ける一要素となり得る。
5.取締役に善管注意義務違反の責任を余りに広く課すと,取締役となろうとする者がいなくなるという懸念がある。
「平成25年 短答式試験 民事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000111055.pdf)をもとに作成