次の文章は,調理師甲とその相談を受けている弁護士乙との会話である。次のアからウまでの下線部の各記述について,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
甲 「私は,調理師法に基づく調理師の免許(以下「免許」という。)を知事から受けて,レストランのシェフをしていますが,そのレストランで生じた食中毒事故を理由に,知事によって免許を取り消されそうになって,困っています。数日前に,知事からこの件についての書類が来ていますので,見てください。」
乙 「これは,行政手続法(以下「法」という。)による聴聞の通知ですね。免許の取消しを阻止するため,聴聞でどのような主張をすべきか検討しましょう。その前提として情報収集が必要ですが,いい方法があります。甲さんの免許の取消しについて,法による聴聞の通知があったわけですから,(ア)甲さんには,法に基づく文書等の閲覧の権利が生じており,知事に対し,本件に関する調査結果などの資料の閲覧を求めることができます。」
甲 「そのようなことができるとは知りませんでした。ところで,聴聞に出ていくことができるのは私だけでしょうか。」
乙 「(イ)法によれば,不利益処分の名宛人となるべき者やその代理人は,聴聞の期日に出頭して意見を述べたりすることができますが,それ以外の利害関係者が聴聞手続に参加することは認められていません。」
甲 「分かりました。それから,少し先の話になりますが,聴聞でいろいろ意見を述べても,結局免許取消処分がされてしまった場合,どうしたらいいでしょうか。」
乙 「調理師法は,不服申立前置主義を採っていませんので,免許取消処分に対して直ちに訴訟を起こすことができます。そのほか,行政不服審査法により,知事への異議申立てをすることも考えられるのですが,(ウ)法は,聴聞を経てされた処分については,事前手続の保障が手厚いことから,不服申立てを制限していますので,甲さんが異議申立てをすることはできません。」
1.ア○ イ○ ウ○
2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○
6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○
8.ア× イ× ウ×
「平成24年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000098332.pdf)をもとに作成