幸福追求権の内容については,「公共の福祉に反しない限り一般的に自由を拘束されないという一般的自由権をその内容とする。」という一般的行為自由説に対し,「個人の人格的生存に不可欠な利益を内容とする権利の総体である。」という人格的利益説がある。これら二つの見解に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.裁判所が「新しい人権」を明確な基準なしに憲法上の権利として承認することになると,裁判所の主観的な判断によって権利が創設されるおそれがある。その点,人格的利益説は,「新しい人権」の承認について種々の要素を考慮して慎重に決定することを求める見解といえる。
イ.一般的行為自由説は,公権力による制約に対して人権保障の範囲を広げる見解であるのに対し,人格的利益説は,不可欠性という厳しい要件の下で人権保障の範囲を決するので,人権保障の範囲が狭くなりすぎるおそれがある。
ウ.一般的行為自由説は,公共の福祉に反しない範囲で人権を認め,更にこれに対する公共の福祉による制約を認めるので,かえって人権保障を弱めるおそれがあるが,人格的利益説は,人権の範囲を絞った上で公共の福祉による制約を否定するので,結局人権保障に資する。
1.ア○ イ○ ウ○
2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○
6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○
8.ア× イ× ウ×
「平成24年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000098332.pdf)をもとに作成