司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成24年 刑事系科目

第32問 (配点: 3)


次の【事例】に関する甲を有罪とするのに必要な甲の自白の補強証拠について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。なお,甲の自白及び各証拠について,その証拠能力及び証明力には問題はないものとする。

【事例】

甲は,平成23年4月3日,H警察署を訪れ,同署司法警察員Xに対し,「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は,乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し,私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し,V1の死体を海に捨てるというものであった。実際,私は,この計画どおり,平成23年2月3日午後9時頃,前記岸壁において,普通乗用自動車を運転し,乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し,乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに,私は,これまで,一度も運転免許を取得したことがない。また,私は,平成22年12月8日,H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ,私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと,道路交通法違反(無免許運転),殺人,死体遺棄,住居侵入,窃盗の罪を自白した。そこで,司法警察員Xは,この自白を内容とする供述調書を作成した。その後,甲は,平成23年4月5日,司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上,これをAに郵送した。

【記述】

ア.甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とするには,甲が無免許であることについての補強証拠が必要不可欠であり,この証拠がない限り,甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とする余地はない。

イ.甲を殺人,死体遺棄の罪で有罪とするには,V1の死体を写真撮影した写真撮影報告書等V1の死体の発見を前提とする補強証拠が必要不可欠であり,V1の死体を発見できなかった場合には,甲を殺人,死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。

ウ.甲を殺人,死体遺棄の罪で有罪とするためには,Aに郵送された手紙以外の補強証拠が必要不可欠であり,甲の供述調書及びAに郵送された手紙以外の証拠がない場合には,甲を殺人,死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。

エ.甲を住居侵入,窃盗の罪で有罪とするには,平成23年4月3日より前にV2が前記被害を届けていることについての補強証拠が必要不可欠であり,前記甲の自白を端緒に捜査を開始した結果,V2が前記被害に気付いて被害を届けた場合,甲を住居侵入,窃盗の罪で有罪とする余地はない。

オ.甲を現金10万円及び時計1個を窃取した旨の窃盗の罪で有罪とするには,V2が被害直後に現金10万円と時計1個を窃取された旨の被害を届けていた場合であっても,被害金品の所在又は使途についての補強証拠が必要不可欠であり,たとえ,甲から押収した被害に係る時計1個が証拠として存在しても,被害に係る現金10万円の使途を全て明らかにする補強証拠がない限り,甲を現金10万円及び時計1個を窃取した旨の窃盗の罪で有罪とする余地はない。

1.ア ウ
2.ア エ
3.イ エ
4.イ オ
5.ウ オ

「平成24年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000098334.pdf)をもとに作成

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