行政裁量に関する次のアからエまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ウ.道路運送法(平成12年法律第86号による改正前のもの)第9条第2項第1号は,運賃の設定及び変更の認可基準の一として,「能率的な経営の下における適正な原価を償い,かつ,適正な利潤を含むものであること。」との基準を定めているが,その趣旨は,一般旅客自動車運送事業の有する公共性ないし公益性にかんがみ,安定した事業経営の確立を図るとともに,利用者に対するサービスの低下を防止することを目的としたものである。同号の基準は抽象的,概括的なものであり,同基準に適合するか否かは,行政庁の専門技術的な知識経験と公益上の判断を必要とするから,ある程度の裁量的要素があることを否定することはできない。
「平成22年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000046901.pdf)をもとに作成