次の【事例】における【Kの証人尋問】中の(1)から(4)までの下線部分にそれぞれ対応する後記1から4までの各記述につき,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
【事例】
被告人甲は,運転していた普通乗用自動車を歩行中のVに衝突させて傷害を負わせ,前方不注視の過失による自動車運転過失致傷罪で起訴された。第1回公判期日において,甲の弁護人は,事故直後に犯行現場で実施された実況見分に甲が立ち会ったことは争わないものの,前方不注視の過失の有無を争い,検察官から事前に開示されていた同実況見分に係る実況見分調書について不同意の意見を述べた。そこで,検察官は,その作成者である司法警察員Kの証人尋問を請求し,裁判所の採用決定を経て,次のとおりKの証人尋問を行った。
【Kの証人尋問】
検察官. 証人は,本件当時,○○警察署交通課に警部補として勤務していましたね。
K. はい。
検察官. 証人は,平成×年×月×日,本件犯行現場で現場の状況に関する実況見分を行いましたか。
K. はい。
検察官. 証人は,実況見分の経過と結果を書面にしましたか。
K. はい。
検察官. (1)検察官請求に係るK作成の実況見分調書を示します。証人が作成した実況見分調書は,これですか。
K. (2)はい。この実況見分調書は,私が自分で作成したものに間違いありません。
検察官. 実況見分調書に添付された現場の写真を示します。この写真は,証人が撮影しましたか。
K. (3)いいえ。私が,部下のL巡査部長に命じて撮影させました。
検察官. (4)その実況見分には,被告人を立ち会わせましたね。
K. はい。
検察官. 実況見分の際,被告人は,何か言っていませんでしたか。
K. 確か,被告人がよそ見をしてしまったなどと言って,何度も繰り返して謝っていました。
(以下省略)
1.(1)の尋問は,書面に関しその成立,同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問する場合において必要があるときに該当するので,実況見分調書の証拠調べが未了であっても,同調書を示して尋問することができる。
「平成22年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000046903.pdf)をもとに作成