次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,誤っているものを2個選びなさい。
1.甲が,Aを脅迫する意図でA宅に宛てて「お前の家に火をつけてやる。」と記載した手紙を郵送したところ,同手紙が誤ってA宅の隣のB宅に配達され,Bがこの手紙を読んで畏怖した。甲には,Bに対する脅迫罪が成立する。
2.甲が,乙に対し,Aの弱みに付け込んでAから現金を喝取するように唆したところ,乙は,その旨決意し,深夜,公園にいるBをAと誤認して,現金を喝取しようとしてBを脅迫したが,人違いのため現金を喝取できず,その直後,Aを上記公園に呼び出し,Aから現金を喝取した。甲には,Aに対する恐喝既遂罪の教唆犯とBに対する恐喝未遂罪の教唆犯が成立する。
3.甲は,12歳のAを15歳と誤信し,Aに対して暴行・脅迫を加えずにわいせつな行為をした。甲には,強制わいせつ罪が成立する。
4.甲が,乙に対し,Aに暴行を加えるように唆したところ,乙は,その旨決意し,Aに暴行を加えたが,暴行を加えているうちに傷害の故意を生じ,その後の暴行による傷害が致命傷となってAは死亡した。甲には,傷害致死罪の教唆犯が成立する。
5.甲は,Aが甲に射殺されることに同意したため,Aに対し,殺意をもってけん銃を発射したが,銃弾は,Aに当たらずにAの頭部をかすめ,Aの背後にいて甲がその存在を認識しておらず,甲に射殺されることに同意していなかったBに命中して同人を死亡させた。甲には,Aに対する同意殺人未遂罪とBに対する殺人既遂罪が成立する。
「平成22年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000046903.pdf)をもとに作成